コーポラティブハウスが完成した後は、建物のメンテナンスが必要になります。資金不足にならないように、10年、20年経った時点でどのくらいの修繕費用が必要なのか把握しておく必要がります。自分たちの建物のどの部位の補修工事がいつ頃必要で、費用はどの程度になるのかを事前に把握して将来に備えて資金計画を立てることを長期修繕計画と呼びます。
定期的なメンテナンスが必要
コーポラティブハウスに限らず、すべての建物は時間とともに劣化していきます。コーポラティブハウスでも「屋上防水の劣化」や「外壁の汚れ」「鉄部のサビ」などが進んでいきます。
コーポラティブハウスの場合には、デザインの凝った建物も多いため老朽化による漏水事故も起こりがちです。予防保全のための定期的なメンテナンスが欠かせません。
長期的な視点でメンテナンス計画をたてる
建物は定期的なメンテナンスが欠かせませんが、集合住宅では、実際に修繕工事を実施するにあたっては区分所有者の合意形成が必要になります。
大規模修繕工事の時期になって資金不足に気付いて「一次負担金」を徴収するなんてことになっても簡単には住人の同意は得られないでしょう。
そこで、重要な役割を担うのが長期修繕計画です。
「長期修繕計画」では、建物ができあがってから30年といった長期的な展望にたち、各部位の修繕工事の時期を予想し概算費用を示します。
長期修繕計画で修繕積立金を見直す
長期修繕計画を作成しただけでは意味がありません。長期修繕計画を作成し資金シミュレーションをおこなって、近い将来赤字になるということであれば、早急に各区分所有者から集める月々の修繕積立金の額を見直す必要があります。
なお、修繕積立金の額を値上げするときは総会の「普通決議」で決定しなければなりません。
長期修繕計画の作成は誰がおこなう?
管理会社に管理業務を委託している場合には、竣工の時点で管理会社が作成した長期修繕計画が最初の住人に渡されるのが一般的です。
しかし、竣工時の長期修繕計画は信頼性に乏しいものも多く、コーポラティブハウス特有の設備や意匠(コンクリート打ち放しなど)が考慮されていないケースが大半です。
いずれしても、各々のコーポラティブハウスの劣化状況や修繕状況に合わせて、長期修繕計画は5年を目安に見直しをしていくことが重要です。
長期修繕計画がない場合は専門家に作成を依頼しよう
万が一、長期修繕計画がない場合には、費用がかかっても設計事務所やマンション管理士といった専門家に作成を依頼しましょう。
本当は専門的な劣化診断をおこなった上で精度の高い修繕計画を作成するのが望ましいのですが、費用もかなり高額になるので、
築年数があまり経過していない場合や管理組合の資金が乏しい場合には簡易的なもので済ますことをおすすめします。