コーポラティブハウスでは「管理室」や「集会室」がないことが多いので、管理組合の書類の保管は理事が持ち回りで各住戸でおこなうケースが多いでしょう。
建物完成後に多数の「設計図書」が施工会社から管理組合に引き渡されます。こうした「設計図書」は大規模修繕工事などをおこなう際には大切な情報となります。
施工会社から管理組合に確実に引き継がれ保管されていることを確認してください。仮に引き継がれていなければ、施工会社に引渡しを依頼しましょう。
設計図書の保管方法
建物が完成して管理組合設立後は、建設組合時に締結した契約書や作成した設計関係の図書などが多数あります。
「設計関係の図書」は大規模修繕工事や電気工事の際には重要な情報となります。また、長期修繕計画を作成する際にも参考にする大切な資料ですので確実に保管します。
設計図書や過去の修繕工事の記録は、長期修繕計画作成時、大規模修繕工事実施時の基礎資料となる情報であり、永久保管が原則ですが、紙での保管は劣化や変色、破損、汚損、紛失といったリスクが伴います。
デジタルでの保存も有効
管理組合の書類関係は紛失しないように、管理組合で置き場所や管理方法を決めて大切に保管することが重要です。建物内に管理室などがない場合には紛失防止、収納場所確保のために、スキャンをおこなってデジタルデーターで保管するのも有効です。
デジタルデーターであれば「ドロップボックス」や「グーグルドライブ」などのクラウドにアップして住人で共有できるというメリットもあります。ただし、個人情報漏洩につながる恐れのある書類の保管には注意が必要です。
また「区分所有者」と「賃借人」の閲覧できる情報を、フォルダーを別にしたり権限を変更するなどして区別しなくてはなりません。
「竣工図」が保管されているか確認する
「設計に関する図書類」は、建物竣工時に設計事務所やゼネコンから引継ぎを受けなくてはなりません。気を付けなくてはいけないのは「竣工図」は、建築完了後に作成するので竣工後、数ヶ月してから管理組合に引き渡されます。
「竣工図」は、 建築では必ずしも設計図のとおりに出来上がるわけではなく、現場で軽微な変更が加わるので、最終的に出来上がった内容を記したものです。
したがって竣工図がないと、例えば電気配線などが実際にどのようにつながっているか、後から確認することが困難になります。
実際に、竣工図が引き渡されなかったコーポラティブハウスでブレーカーが頻繁に落ちるという故障が起きた際に、配線が設計図と相違があったために原因の特定に時間を要しました。
保管すべき図書一覧
施工主が管理組合に交付する「設計に関する図書」は、一般的に以下のとおりです。これを参考に保管図書を確認してください。
- 付近見取図
- 配置図
- 仕様書(仕上表を含む)
- 各階平面図
- 2面以上の立面図
- 断面図または矩計図
- 基礎伏図
- 各階床伏図
- 小屋伏図
- 構造詳細図
- 構造計算書
- 確認申請(計画通知)書類(副本または写し)
- 検査済証(建築,消防,昇降機等)
- 開発許可申請書類(近隣協定書等を含む)
- 竣工図