大規模修繕工事の費用が全く足りなかった!
管理会社の担当者から大規模修繕工事の時期が近づいてきたので工事の見積もりが提出された。
しかし、その額は管理組合が貯めている修繕積立金の額を大幅に超えるもので、同時に各住戸が毎月支払う修繕積立金の値上げを提案された。
こうした状況になって初めて自分たちのコーポラティブハウスの修繕積立金が足りないことに気がつくケースが多いようです。
以下でよく見られる原因について考えていきます。
修繕積立金が不足する原因1/長期修繕計画はあるが精度が低かった
一般的にコーポラティブハウスの長期修繕計画は建物完成時に管理会社が作成したものです。
この長期修繕計画ですが簡易的なものであったり、通常の分譲マンションの長期修繕計画を流用したもので内容的に誤りがあることがほとんどです。
また長期修繕計画を基に資金シュミレーションをして修繕積立金を算出していないこともあります。
長期修繕計画は「修繕積立金の額」を算出するためのもの
いずれにしても、「長期修繕計画」を作成する目的は大規模修繕工事の際に修繕積立金が不足しないためのものですので「精度が低かったり」、そもそも「修繕積立金の算出の根拠」となっていないようでは全く意味がありません。
また、長期修繕計画は適宜見直していくことが重要です。一般的には5年程度ごとに見直していくことが望ましいでしょう。
そして、それに合わせ「修繕積立金」が不足する場合は総会の決議を以って修繕積立金の値上げをする必要が出てきます。
修繕積立金が不足する原因2/管理会社からの見積もりが高かった
管理会社からの見積もりは一般的には相場より割高であるケースが多いようです。
管理会社も営利目的の企業ですから当然できるだけ高い金額で仕事をもらいたいのが本音です。
特にコーポラティブハウスの場合は、世帯数が少ないこともあって管理会社が毎月受けとる管理委託費は管理会社にとってあまり利益が得られるものではありません。
したがって管理会社は「大規模修繕工事」や「日常的な修繕」で出来る限り利益を上げることでこれらの不足分を補填しようとする傾向が強く見られます。
まとめ
これらの原因を考察すれば、修繕積立金の不足を防止するには『①長期修繕計画をしっかりとつくりそれに基づいて修繕積立金を設定すること』『②大規模修繕工事の見積もりを管理会社任せにせずに適正な金額の業者に発注』することが重要となります。
「長期修繕計画の作成」や「大規模修繕工事の実施」については、住民の中に専門的な知識がない場合には、追加のコストが掛かっても「マンション管理士」や「設計事務所」などの外部の専門家に依頼することで長期的に見ればコスト削減につながるでしょう。