「管理組合」と「管理会社」は利益相反関係
コーポラティブハウスが管理業務を委託する管理会社は、日常的な管理業務をお願いする中では管理組合にとっての頼りになるパートナーとしての役割を担います。
しかし管理会社も営利を目的とした企業ですから本音ではできるだけ手間をかけずに多くの利益を上げたいと考えています。
したがって管理会社を全面的に信頼しすぎるのも管理組合にとってはリスクのあることです。
管理会社はコーポラティブハウスの大規模修繕工事で利益を上げたい
コーポラティブハウスは小規模なことも多く、管理会社にとって毎月支払われる管理委託費だけでは十分な利益を上げることは困難です。
コーポラティブハウスが管理会社を選ぶ過程では、建設時の「建設組合」が主体となって複数の管理会社から相見積もりを取得して管理会社を選定するのが一般的でしょう。
選定の中では「費用が安い」ことがひとつの重要なポイントとなりますので、管理会社は業務を受託したいがために低額な「管理委託費」で業務を引き受けています。
安く受けて大規模修繕工事で利益を上げる
これには思惑があって毎月支払わられる管理委託費は少なくても、将来的に必ず行われる「大規模修繕工事」や「日常的な小修繕工事」を管理会社が行うことで、大幅な利益を上げようと考えてます。
「管理会社」は「管理組合」の家計を握っている
管理会社は管理組合の経理も担当しているわけですから、管理組合がいくら修繕積立金を集め大規模修繕工事の時期にはどれくらい修繕積立金が貯まっているかを知っています。
また、管理会社はその立場を利用して修繕積立金の値上げを誘導することも可能です。
こうした立場を利用して長期修繕計画の「工事費用を高めに設定」したり、「工事の周期を短く設定」して出来る限り多くの売上を上げられるように長期修繕計画を設定することができてしまいます。
まとめ
長期修繕計画を作成を依頼する専門家は管理会社ではなく第三者の立場である「設計事務所」や「マンション管理士」等の専門家が望ましいでしょう。
管理会社から日常的な管理についてのアドバイスを受けることについては何ら問題ありませんが、大規模修繕工事などの大きなお金が動く場面では「第三者の専門家」に業務を依頼した方が良い結果につながるでしょう。
また、管理会社は管理全般のマネジメントをする企業であって「建物」や「設備」などの極めて高い専門性を有しているわけではありません。
管理会社に専門的な業務を依頼しても、実際の「建物の劣化診断」や「大規模修繕工事の設計」などの専門的な作業は、管理会社が下請けの専門業者に業務を丸投げすることがほとんどです。
従って、長期修繕計画のような専門的な仕事は、管理組合の財務状況を知っている管理会社ではなく管理組合が直接「第三者の専門家」に依頼したほうが「コスト面」でも「信頼性の面」でも優位に働くことが多いでしょう。