コーポラティブハウスの企画に参加するリスク
企業主導型のコーポラティブハウスに参加する場合には、コーポラティブハウスの企画会社が主に自社ホームページやフェースブックの広告などで募集しているプロジェクトに応募することになります。 こうしたプロジェクトに参加した場合のリスクについて説明していきます。
リスク1! プロジェクトが中止になるリスク
コーポラティブハウスの企画会社が主導するプロジェクトに応募した場合の一番のリスクは、プロジェクトの定員一杯に入居希望者が集まらないことによって、プロジェクトが中止に追い込まれることです。
実際にコーポラティブハウスの企画に参加する場合には、多大な手間暇を掛けて資料を取り寄せたり候補地に出向いたり、複数のプロジェクトを比較検討するなどして、自分が選んだプロジェクトに応募することになります。
しかし、申し込みをしてから 半年待ったけれど、定員一杯に入居希望者が集まらずに企画会社からプロジェクトが不成立になったことが告げられるケースが相次いでいます 。
本当にそのプロジェクトに人は集まる?
コーポラティブハウスの人気が高かった時代は募集をおこなえば、人気のエリアであれば入居希望者ですぐに定員が埋まっていたのでこうした心配は不要でした。
しかし現在では、コーポラティブハウスの人気が下火になったこともあり、応募者が集まらないことでプロジェクトが中止になるリスクについても念頭に置いておく必要がでてきました。
また、「人気があまりないエリア」や「募集金額が高すぎる」といった場合には応募が少ないといった事態も想定されます。
プロジェクトが中止になることは、急いで引っ越しをする必要がない方にとっては諦めのつくことであっても、プロジェクトが成立するのか?言い換えれば、いつ建物が完成するのかを事前に全く読めない状況は企画会社主導型のコーポラティブハウスにおいての最大のリスクです。
これらのリスクをできる限り避けるには、プロジェクト応募前に企画会社汚担当者に会社としてのプロジェクト成立率を確認することです。プロジェクトが不成立の場合には、各企画会社のホームページからプロジェクトに関するページは削除されることが多いため、担当者に尋ねる他ありません。
コーポラティブハウスの仕組みでは、企画会社が建築費などを支払う必要がないため、仮にプロジェクトが中止になっても、資金面ではあまりリスクにはなりません。
このようなコーポラティブハウス特有の仕組みが、企画会社側に「応募者が集まる確信」がなくても、イチかバチかで募集を開始することにつながり、結果としてが入居希望者が集まらずにプロジェクトが中止となって、入居待ちをしていた方に多大な迷惑を掛ける結果となっています。
企画会社選びでは、各プロジェクトに定員一杯、入居希望者を集めることができるかが重要と言えます。応募を集めるためには、プロジェクト自体の魅力は当然ですが、企画会社のマーケティング力や、これまでの実績等が重要となるでしょう。
リスク2! 外的要因で工事が遅れて建設費用が高くなる恐れ
今回のコロナウィルスや、万が一大地震などが起った場合には、工事に影響を及ぼし、建物の完成が遅れることがあります。
それだけではなくコーポラティブハウスの仕組み自体がプロジェクト発足時には建築価格が確定していないリスクを持っています。
こうした外的要因によって建築費や資材の高騰などがあれば、当初の予定より大きく物件価格が高額になる事態も想定されます。
高くなりすぎたら途中で辞めたいと考えても、 一旦建設組合に参加してしまえば、途中で建設組合から抜けると高額の違約金が発生します。
また、コーポラティブハウスは通常の分譲マンションでは建築の難しいとされる旗竿型の敷地に建設する場合も多く、建設組合を設立してから近隣からの反対運動でプロジェクトが遅延、最悪の場合頓挫するケースもあります。
こうした理由でプロジェクトが中止になった場合には、企画会社に支払うコーディネート料金が全額戻ってこないというリスクもあります。
リスク3! コーポラティブハウスの土地に関するリスク
コーポラティブハウスの予定地に潜む、目に見えにくいリスクもあります。
埋蔵文化財
建設工事をおこなう前段階では地域によっては、埋蔵文化財が埋まっていないか試掘が義務づけられています。仮に埋蔵文化財が見つかった場所では、その保護・保存に必要な措置を講じる必要があるため工事を中断せざるをえません。
地下水
予定地の地下水にも十分な注意が必要です。地下水の水位が高いことで建物の基礎工事の際に水が染み出てくると、作業に悪影響を及ぼし工事期間の延長や、地盤の改良や設計変更などでコストが膨らむ恐れがあります。
リスク4! 企画会社の継続性・信頼性の問題
現在は、コーポラティブハウスの人気が下火になっていることもあって 大手の企画会社であっても自転車操業となっている場合があります。
過去にはコーポラティブハウスの大手の企画会社が民事再生となったこともありました。
コーポラティブハウスの建築には数年掛かりますので、その途中で企画会社が、倒産する可能性があるというのは、一般の分譲マンションの購入ではないリスクです。
従って、コーポラティブハウスの企画会社の業績などはしっかりと見極める必要があるでしょう。
リスク5! 建築コストの透明性の問題
コーポラティブハウスの企画会社の説明では、コーポラティブ方式が「クリーン」で「透明性の高い」方式とされています。
確かに、建築費や設計事務所への支払い額などを建設組合(入居者)が把握できるという面では、一理あるでしょう。
しかし、このことが=クリーンな方式とは言い切れません。建設業界で問題とされているのは、入札時の「談合」であったり「バックマージン」がおこなわれることですが、コーポラティブ方式であっても、他の方式と同様にこれらの不正を完全に排除できません。
企画会社も営利を追求するビジネスとしてプロジェクトを立ち上げるわけですから「設計事務所」「施工会社」の選定には、企画会社の思惑があります。企画会社のモラルが低い場合には、容易に「談合」や「バックマージン」等の不正をおこなうことができます。
補足すると、万が一、コーポラティブハウスの企画会社に対して、設計事務所や施工会社からバックマージンが支払われていても、それを建設組合(入居者)は発見することができません。