長期修繕計画を見直さないと無駄なコストが掛かる
建物完成時に管理会社が用意した長期修繕計画は、あくまで簡易的なもので、一般的には通常の分譲マンションの「長期修繕計画の雛形」を流用したものです。
この計画には、コーポラティブハウスの実際の「設備」や「仕様」に即していないために、入居後には管理組合が主体となって精密な長期修繕計画につくり変えることが必要になります。
実際に時間が経過すると、長期修繕計画での予想よりも劣化が進んでいない箇所や、予定よりも早い時期に修繕をおこなう必要がある箇所もでてきます。
もちろん長期修繕計画で修繕を予定していても、実際に劣化が進んでいなければわざわざ修繕して無駄なお金を掛ける必要は全くありません。
したがって、長期修繕計画を現状に即したものに常に見直していくことで、無駄なコストを掛けることを防ぎ、また必要な工事を見極めることで建物の劣化を防ぐことが可能となるわけです。
実際には長期修繕計画の通りにはならない
前述のとおり、建物完成時に作成された長期修繕計画はあくまでも簡易的なものですのでまずその計画通りには進みません。
また、いくら費用を掛けて作成した精密な長期修繕計画でもどうしても現実とのズレは生じてしまいます。
いずれの場合でも「計画」と「実際の劣化状況」にズレが生じることを前提として、計画の見直しを5年ぐらいの周期で行うことが理想です。
長期修繕計画の作成を誰に頼む?
長期修繕計画は「理事会」や「修繕委員会」が主体となって作成していくものですが、長期修繕計画の作成には専門的な知識が必要になるため「外部の専門家」のサポートが必要となります。
ここで問題になるのが誰に作成を依頼するかということです。ここでは管理会社は避けた方が良いでしょう。管理会社は管理組合の財務の状況が分かっているので、自分たちが大規模修繕工事で利益を上げることを目的とした長期修繕計画を作成しかねないからです。

まとめ
一度、長期修繕計画をつくって安心している管理組合も多いかもしれません。
しかし実際の「劣化状況」と計画とではズレが生じるため、古い長期修繕計画をそのまま鵜呑みにして修繕工事をしてしまうと無駄なお金を掛けることになりかねません。
また、長期修繕計画の見直しは建物の「実際の劣化状況を反映をさせる」という目的の他、時代の経過とともに「修繕の工法が進化」して工事の「内容」や「コスト」が変化するのでそれに対応するためにも必要となってきます。