コーポラティブハウスとは仕組みのこと
コーポラティブハウスとは「居住希望者同士で組合を結成し、その組合自らが事業主となって、土地手配から建物の企画・建築を行う集合住宅」のことです。
入居希望者が組合を設立して、その組合が事業主となって土地の購入や施工者に発注をおこなう方式のことです。
コーポラティブハウスの特徴として「注文住宅」と「マンション(集合住宅)」の利点をかけ合わせたものと表現されます。
近年、集合住宅におけるコミュニティの希薄化が進行してきている時代背景があるにも関らず、コーポラティブハウスの普及が進んできています。
一般的な分譲マンションのように好きなお部屋を購入したらすぐに住み始めるというわけにはいかず、コーポラティブハウスでは、暮らし始めるまで多大な時間と手間は掛かります。
しかし、注文住宅の「自由さ」と、『マンションならでの「コミュニティ感」、「規模感」を享受したい!』という方にとって、とても魅力的な住宅の方式といえるでしょう。
コーポラティブハウスのメリットとして、自由設計が可能であることや、建設コストが抑えられること、良好なコミュニティ形成が可能であることがあげられます。
コーポラティブハウスの歴史(世界・日本)
コーポラティブハウスは、世界では200年以上の歴史 を持 っています。最も古い住宅は1775年に設立されたといわれています。
以降、欧州では広く流通されてた手法となり、現在、国によっては全住宅の20%弱がコーポラティブハウスとなっている国もあります。
また、日本では1968年の東京都渋谷区千駄ヶ谷で、4名の建築家のコラボレーションによって建てられたものが最初のコーポラティブハウスとされています。
1970年代になると日本でもコーポラティブハウスの本格的に建設が始まり古いものは入居後40~50年を経過しています。
当初は、様々な支援制度により大型のコーポラティブハウスも誕生しましたが、現在は支援制度もなくなったこともあり、小規模なコーポラティブハウスが建設される傾向があります。
コーポラティブハウスの方式(企業主導型・参加者主導型)
コーポラティブハウスを建設するには、土地の仕入れや、建物の専門知識も必要なため、仲の良い者同士が集まって組合を結成しても、一連の手続きをすべて自分たちでおこなう事は困難なため、コーポラティブハウスの企画会社がプロジェクトを主導するのが一般的になっています。
「コーポラティブハウス」は、一般にはあまり馴染みがないかもしれませんが、今現在の日本でも使われている事業手法で「アーキネット」や「コプラス」など、安定的な実績を持つ企業も多く存在しています。
1.企画会社主導型のコーポラティブハウス
コーポラティブハウスの多くは、企画会社が「候補地」や「建物の大枠」などを事前に用意した上で入居希望者を募集する方式で建てられたものです。
あらかじめ企画会社が候補地を用意した上で、「建物全体のデザイン」や「戸数」などを決定していますので、入居希望者がオーダーメイドのようにすべてを決定することはできません。
しかし、一般的な分譲マンションと比較すれば、ある程度間取りの変更であったり、ドアのデザインが自由であるなど、セミオーダー感覚で注文をおこなうことができます。
企画会社主導型のコーポラティブハウスの誕生で、自分たちで「土地探し」や「施工会社の決定」等に時間を取られないようになり、より手軽にコーポラティブハウスに参加することができるようになりました。
以上のことから、企業主導型は、一般的な分譲マンションでは満足できないが、注文住宅よりは、集合住宅の方が好みであるといった方向けの方式です。
2.参加者主導型のコーポラティブハウス
参加者主導型のコーポラティブハウスは、「親戚」や「仲の良い友達」が組合を結成して進めていく方式のことです。
この場合でも参加者の中に設計や建築等の専門家がいない場合には、外部の専門家をアドバイザーとして採用した上で手続きを進めていくことが一般的です。
土地や設計士の選定や、デザインなど自分たちですべて自由にきめることができるので、オーダーメイドの集合住宅といえる方式です。
しかし、個人で注文住宅を発注する以上のエネルギーが必要となることから、本当にこだわりと忍耐力のある集団でなければ完成には至りませんが、これこそコーポラティブハウスといえるやり方です。